人を幸せにする福祉の仕事

福祉専門職には「思いやりのある心と冷めた頭が求められる」とよく言われます。これは、どれほど福祉サービスが充実していても、利用者に接する福祉担当者の資質が最終的な価値を決めるからです。ホテルに宿泊することと同じで、豪華な建築物であっても、中で働く人たちにおもてなしの心がなければ、居心地の悪い旅行になってしまいます。知識や技術以前に、人間を理解しようとする心が備わっていることが必要で、これはどのような仕事にも通用するでしょう。

特に、社会福祉は人の苦しみや悩みに共感できるあたたかさ、周囲の人と協力しあって仕事ができるコミュニケーション能力が必要になります。そうした人間的なよさが基礎にあって、職業的な倫理観や専門職としての理論や技術が生きてきます。福祉を必要とする人たちは、人権が守られない状況に置かれがちです。社会福祉に携わる人は、どんな人の人権や幸せにも敏感であるよう常に心を研ぎ澄ませていなければなりません。

福祉は、人を幸せにするという、とてもやりがいのある仕事ですが、仕事となれば給与をもらい生活をしていかなければなりません。福祉のサービスは、民間企業の営利目的のように「一生懸命やればどんどん儲かる」というものではありません。福祉の仕事に対する対価は、介護保険制度で原則としてサービスを受けた人は1割の負担で、残りは保険料として税金で賄われているのです。従って、やりがいはお金ではなく、人間の歓びになるのです。